「星取県」から宇宙と生命起源を探る 小惑星「リュウグウ」分析の中村教授が講演

どこからも美しい星空が眺められる「星取県」こと鳥取県。その中でも「星空保全地域」に指定されている倉吉市関金町の日帰り温泉入浴施設「湯命館」で12月14日、小惑星「リュウグウ」の分析で知られる三朝町の地球物理学研究センターの中村栄三博士(岡山大学自然生命科学研究支援センター特任教授)の講演会(主催・認定NPO法人未来)が開かれました。

今年6月、日本の探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから持ち帰ったサンプル(粒子)を同研究センターが分析した結果、23種類のアミノ酸が見つかり、このうち生命活動に重要なたんぱく質を構成するアミノ酸も10種類近く含まれている、というニュースが世界を駆け巡りました。地球の生命起源が隕石 などで宇宙から飛来した説を補強する成果として〝三朝発の研究成果〟が世界から注目を浴びた瞬間です。

 同研究センターのルーツは、1939年に三木行治医師(のちの岡山県知事)の提案による岡山医大三朝温泉療養所。戦後に温泉病院と研究所が分離され、「三朝から日本を変える」を合言葉に、中村博士を中心に世界トップクラスの高温高圧実験、元素・同位体組成の分析や年代測定ができる「地球惑星物質総合解析システム(CASTEM)」を計画的に整備・構築してきたことが、今回の研究成果につながりました。

中村博士は「はやぶさ2で小惑星からサンプルを採取した『工学ミッション』と、われわれ分析する側の『科学ミッション』の両方がそろった成果。太陽系の成り立ちから地球の海水や生命の起源まで、今後の研究に大きな前進があった」と語り、リュウグウの粒子を薄く切削する装置は「鳥取県産業技術センターにお願いして特別に作ってもらったもの」と、地元の支援に感謝の言葉を述べました。

「今回の研究成果から、人類が月や火星で居住する際にそこにある物質で自給自足できる道が近づいた。実はウィーンに事務局がある非営利組織ムーンビレッジ協会(Moon Village Association)の国際的なワークショップとシンポジウムを来年は日本で、しかもビレッジというからには田舎で…と岡山・鳥取両県に誘致することが決まった」と〝ビッグニュース〟を披露しました。