山田五郎さん、「ブリロの箱」を語る 県立美術館オープンに向けて米子でトークセッション

2025年春に倉吉市にオープンする鳥取県立美術館の開館2年前カウントダウンイベントのトークセッションが5日、米子市文化ホールで行われ、テレビや新聞・雑誌で美術批評や世相解説で活躍する山田五郎さんがゲストに招かれました。

あるべき公立美術館の姿について語る山田五郎さん

鳥取県の「3億円購入」で話題を呼んだアンディ・ウォーホールの「ブリロの箱」について、山田さんは「問題は値段より、美術史に詳しくない人や子供には、ウォーホール作品は鑑賞のハードルが高すぎること。ニュートン力学の前に量子力学を見せるようなもの」と厳しい指摘。「世界には1億、2億を何とも思わない富裕層がいて、作品の値がどんどんつり上がっている。ウォーホールも例外ではありません」と語り、「そのお金があれば、国内の若手作家の支援に回してはどうでしょうか」と提案しました。

一方、会場にいた中学の美術教師からは「今まで美術史の授業はピカソで終わり。ブリロの騒動が起きてから、これではいけないと思い、現代アートのバスキアやバンクシーまで教えるようになりました」という報告があり、山田さんは「騒動もそれなりに役に立っているじゃないですか。鳥取の人は思った以上にレベルが高く、まじめな印象」「ブリロも全国の話題になり、宣伝と思えば3億円も安いかも」と前向きに考えるよう呼びかけました。

会場には100人余りが詰めかけたほか、オンラインでも流されました

最後に「全国には、地元作家の所蔵作品を中心に、こちらにウォーホール、あちらにモネといった、似たような公立美術館が多い。鳥取県はあと1つ、2つ〝騒動〟を起こして話題を集め、特色ある美術館を全国に発信して下さい」とまとめて会場の笑いを誘い、ブリロの箱のミニチュアを手に、来場者全員と記念写真に収まっていました。

トークセッション後、ブリロの箱のミニチュアを持って記念撮影に応じる山田さん