古い町並みに溶け込み、ペットとくつろげる宿「わんにゃんリゾート」3棟がオープン 倉吉市内の老舗旅館とリフォーム会社がタグ組む

寅さんの映画ロケが行われた街角に完成した「わんにゃんリゾート」の「別邸新町」

 倉吉市内の老舗旅館とリフォーム会社がタグを組み、観光客がペットと泊まれる宿泊施設「わんにゃんリゾート」が今年春にオープンしました。現在、白壁土蔵群や古い町並みが残る同市成徳、明倫地区に3棟。互いの業種のノウハウや強みを生かし、古い商家や民家をリノベーションして活用。ペットとくつろげる滞在型の宿が人気を呼びそうです。

古民家の和のテイストが漂う「別邸新町」で抱負を語る井戸垣社長=左=と矢嶋代表

 「わんにゃんリゾートKURAYOSHIグループ」を立ち上げたのは、創業70年の老舗「松風荘旅館」(同市瀬崎町。矢嶋健二郎代表)と、リフォームやインテリア・エクステリアを専門とする井戸垣産業(同市堺町、井戸垣昌延代表取締役社長)です。

広いベッドルームのそばに置かれたペットのケージ。わが家のように飼い主もペットもくつろげる

 矢嶋代表は「ペットと飼い主が気持ちよく過ごせる宿を」という時代のニーズを感じ、同旅館でペットと宿泊可能なサービスを始めたところ、「とても回転が良く、手ごたえは十分。ただ他の宿泊客との関係で、やはり専用の宿を、と考え始めた」と言います。

 全国各地のペットの宿の状況を研究する中で、地元のパートナーとして現れたのが、店舗や住宅のリフォーム(リノベーション)を得意とする井戸垣産業。「われわれの本業が生かせ、取り組みに将来性を感じました」と井戸垣社長。

一棟貸しで泊まれる「別邸余戸谷」のおしゃれな外観

 現在、3棟がオープン。明倫地区にある「別邸余戸谷」は、外観は倉吉の白壁土蔵風、内装は南フランス・プロヴァンス風の一棟貸し別荘スタイルの宿。天然芝のドッグラン(30坪)を備え、わが家のようにペットとくつろげるのが特長です。

古い商家をリノベーションした「別邸葵町」

 文化庁の伝統的建造物群保存地区に指定されている成徳地区内にある「別邸葵町」は、古い商家をリノベーション。1階にしゃれたカフェが併設され、3部屋3組が利用可能。犬と遊べる中庭があります。

ペット同伴の観光客は車の利用者が中心なので、横には広い駐車場
1階にはペットと入れるおしゃれなカフェを併設
愛犬と遊べる天然芝の中庭も整備されている

 また同地区で最近完成した「別邸新町」は、寅さんの映画『男はつらいよ』の撮影ロケが行われた情緒あふれる町並みの一角にあり、2部屋2組が泊まれます。

 いずれも大きなベッドルームの横にタイルが敷かれたペットのケージを備え、ペット用トイレや各種アメニティーグッズも完備しています。

ペット用の数々のアメニティグッズも充実

 宿泊予約は楽天トラベル、じゃらんなど。充実の装備に気になるのは宿泊費ですが、人数ではなく1棟、1部屋ごとの値段なので、家族で利用すればかなりお得になります。

 フロントは松風荘内にあり、基本は素泊まり(「別邸余戸谷」は自炊可能)。「周辺の割烹や飲食店と提携し、お取り寄せ(テイクアウト)の環境を整備することで、夜に弱いといわれる倉吉観光にも貢献したい」(矢嶋代表)と意気込みを語っていました。

 地元の商工、観光関係者は「観光客の層を広げる力がある。今後は倉吉市のふるさと納税の返礼サービスなどにも活用してはどうか」と期待が高まっています。

多世代の家族がゆったりくつろげる「別邸葵町」の広いリビング&ベッドルーム

「鳥取県ペットツーリズム協議会」を設立

 鳥取県内でも少しずつ増えてきたペット同伴の宿。矢嶋代表と井戸垣社長は、利用したい飼い主がすぐ宿を見つけられ、また施設間の横の連携を強めるため、「鳥取県ペットツーリズム協議会」をこのほど設立しました。皆生温泉や大山、鳥取砂丘などの宿泊施設やペットと楽しむアウトドア塾など9施設が登録。HPでは動物病院の所在地や各交通機関のペット受け入れなど、県内をペットと旅するための情報が詳しく紹介されています。

 「わんにゃんリゾートKURAYOSHIグループ」のHPは、https://www.tottori-resorts.com/。「鳥取県ペットツーリズム協議会」の公式HPは、https://www.tottori-pettourism.com/