求人広告や人材紹介などの分野で国内トップを走るリクルートグループで常務取締役、関連会社社長を務めた岡崎坦(ひろし)さん(83)の講演会が8月30日、倉吉市仲ノ町の「喜太亭 万よし」で開かれました。岡崎さんは同社の強さの秘密を「制度ではなく風土」として、「社員が風土=価値観を共有する組織が一番強い」と強調しました。
NPO法人未来(岸田寛昭理事長)の設立20周年記念事業の一環として開かれ、リクルートエージェント社長退任後に北栄町に帰郷、同NPOの顧問を務めている岡崎さんが講師を務めました。
岡崎さんは大学卒業後、リクルート社に入社。「当時は創業4年目、社員は40人ほどでしたが、創業64年になった今は売り上げ約2・8兆円、従業員2・1万人で、海外の売り上げが55%を占める会社になった」と紹介しました。
「リクルート事件」など社会を揺るがす危機もあったにもかかわらず、なぜそれほどに成長できたのか。岡崎さんは「風土と当事者意識」と説明します。その柱になったのが社訓だった「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」。この社訓が、積極的に考え動く社員を生み出したといいます。しかも「既に退職したわたしでも現役の社員とすぐに話が通じる」として、今もなおその社風は引き継がれていると強調しました。
ルールや規則、制度で社員を縛るのではなく、社員間での情報共有や社員教育、独特の採用・人事異動制度などを通して風土を形成し、社員が同じ方向を向いたこと、これがリクルートの成長のカギとなったことは間違いないようです。
この日は20人が参加して岡崎さんの語る組織論に熱心に耳を傾けていました。