曲亭(滝沢)馬琴「南総里見八犬伝」のモデルとなった里見忠義公とその家臣(八賢士=八犬士)の終焉の地、鳥取県倉吉市で9月1日、「第37回倉吉せきがね里見まつり」が開かれ、八犬士に扮した甲冑行列や、地元の子供たちによる八犬伝歌舞伎などで悲運のうちに亡くなった主従をしのびました。
江戸時代のはじめ、安房国館山藩(千葉県館山市)の藩主だった里見忠義は、幕府内の勢力争いから伯耆国倉吉に流され、復活を待たず1622年、29歳の若さで病死。主君の後を追って家臣8人が殉死したことから、これをモデルに馬琴が伝奇小説「南総里見八犬伝」を執筆。江戸時代の大ベストセラーとなり、今でも歌舞伎や映画、テレビドラマに取り上げられる高い人気を誇っています。
16回目を数える時代行列は午前中、同市東町にある里見公の菩提寺・大岳院(中村見自住職)に「八犬士」らが甲冑姿で集結。その中には昨年から参加している米メリーランド州出身のALT(外国語指導助手)、ダリル・マッキンドさんの姿も。
墓前法要には、里見家の末裔でつくる「全国里見一族交流会」の会員のほか、今年は里見家のふるさと館山市の市長や商工会議所会頭らも出席する予定でしたが、台風のため残念ながら欠席。中村住職が読経を行った後、八犬士らに〝仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌〟の「8つの霊玉」を授け、ほら貝を合図に行列が出発。重要伝建群保存地区に指定されている白壁土蔵群や赤瓦の古い町並みを練り歩きました。
午後からは会場を同市関金町のせきがね都市交流センターに移し、打吹童子ばやしの子供たちによる「里見伝説 新・八犬伝」の太鼓演奏や、関金小の児童らでつくる子供歌舞伎「里見八犬士 堀村館勢ぞろいの場」、せきがねリーディングの会による朗読劇「関金里見八賢士伝」など、さまざまなステージイベントが繰り広げられました。
また記念イベントとして、まつりの会場周辺に散らばった8つの玉のスタンプを集めると抽選で地元特産品が当たる『八犬伝スタンプラリー』も行われ、家族連れでにぎわっていました。