「まちなかアート」に夢ふくらむ 「アート格納庫M」の岡野稔さんを迎え、NPO未来と倉吉異業種交流プラザが合同例会

 認定NPO法人未来(鳥取県倉吉市、岸田寛昭理事長)と、異業種間の情報共有や連携を目指す倉吉異業種交流プラザ(森英司会長)は11日、西倉吉工業団地にある自社倉庫を改装して現代アートのギャラリー「アート格納庫M」をオープンした㈱丸十の岡野稔会長を講師に迎えて合同例会を開きました。テーマは「アートは街を活性化する」。

挨拶するNPO法人未来の岸田理事長

 冒頭、NPO未来の岸田理事長が「アートが身近に感じられる町は、移住者が見ても魅力的。まちなかアートに取り組む岡野さんからその狙いや具体例をぜひ聞いてみたいと企画しました」と挨拶しました。

アート格納庫Mを設けた狙いや将来の戦略を語る岡野氏

 岡野さんは東京都生まれ。1971年に倉吉市の割箸・食品容器・厨房設備・調理器具などを取り扱う(株)丸十(同市秋喜)に入社、現在は同社の代表取締役会長。県経済同友会幹事や倉吉博物館協会会長も務めています。

2022年にはアート事業部を新設。「アート格納庫Mは、アーティスト、地域の事業所が共に喜んでくれる『三方良し』の事業を目指す」と語り、①アートツーリズムの推進で滞留人口を増やし、まちおこしの一端を担う②作品を販売し、若手アーティストの育成を支援すると同時に、地域の子供たちに現代アートに親しむ機会を提供する③そのために、飲食店やホテル、事業所をアート作品を展示し、購入につなげる「まちなかアート」を推進する―の3つの目標を掲げました。

NPO未来と倉吉異業種交流プラザの会員ら40人が集まった

 アート格納庫Mは今年春、かつて倉吉市内に滞在しながら制作活動に取り組んだこともある現代アート作家、原口典之氏(故人)の代表作『オイル・アンド・ウオーター』などの常設展示と彼の代表作の企画展を皮切りに、現在は第3回の企画展、在日コリアンとの関係が深いパチンコ産業から着想を得た地元出身の藤原勇輝氏の作品を展示中。

例会では、作者の藤原さん自身がパチンコ球17万個を使ったピラミッドや、「釘」をびっしり打ち付けた自作の制作意図や苦労話を語り、参加者らが緻密かつ大胆な構想で構築された現代アートに驚きの声をあげていました。

自作を解説する現代アート作家の藤原さん
意表を突く17万個のパチンコを組み上げたピラミッドも藤原さんの作品

また現在、倉吉市内で4か所展開している「まちなかアート」を紹介。古い商家をリフォームした日本料理店「飛鳥」で作品を展示しているイラストレーターの伊吹春香さん、倉吉シティホテルで同人4名の作品を展示している砂丘社の横山尚登さんらがマイクを握り、自作品が一般市民の目に気軽に触れることのできる「まちなかアート」の魅力について語りました。

イラストレーターの伊吹春香さん
砂丘社同人の横山さんは高校の元校長先生

 このあと、「まちなかアート」にちなんで、〝町中華〟の名店「北京」(同市宮川町)に移動し、懇親会。挨拶に立った広田一恭倉吉市長、木本美喜県中部総合事務所長は「アートに身近に触れる町を目指したい」「県立美術館のある町にふさわしい活動が展開されつつある」と、岡野さんら民間によるアートの取り組みを高く評価しました

挨拶する県中部総合事務所の木本所長
乾杯の音頭をとる倉吉市の広田市長=左から2人目=