市民ギャラリー「コミュニティプラザ百花堂」では、来年3月の鳥取県立美術館(倉吉市駄経寺町2丁目)のオープンに合わせて「箱・函・匣・筐・筥ーはこ展」を県内3ギャラリーで開催するになりました。鳥取県が3億円で購入して話題を呼んだアンディ・ウォーホルの『ブリロの箱』にちなんだユニークな開館応援企画。「県内作家に広く参加してもらい、〝私たちの美術館〟という一体感や意識が高めたい」(倉吉百花堂委員会の古澤順子副代表)と意気込んでいます。
百花堂ギャラリーは、眼鏡と補聴器の専門店㈲ルネックスが鳥取・倉吉・米子各本店の一角に設置、企画・運営は美術関係者や市民らによる委員会で行われています。「地元にできる念願の県立美術館にどう向き合い、関わっていくか」を考えていた染織家で日展会友の古澤さんは、昨年1月、京都市で開かれたアンディ・ウォーホル展で実物の『ブリロの箱』に接し、「はこを共通のモチーフにした企画展を県内作家で開いてみては」というアイデアを思い付きました。さっそく委員会に諮ったところ、「それは面白い」と開催が決定。出品する県内作家は古澤さんらが一人一人依頼して回りました。
鳥取県立美術館は、県の財政難による事業計画の一時凍結を経て、その後も建設地選定をめぐって各地区間の激しい綱引きが起き、美術団代関係者らにわだかまりや不満を残しました。古澤さんは「しこりの残る地区の作家さんにも思い切ってお願いしたら、気持ちよく応じていただいた。それが何より」と喜んでいます。
倉吉百花堂(倉吉市宮川町)の「はこ展」は、洋画、日本画、デザイン、染織、工芸、書道、写真など多彩なジャンルの県内作家29人が出品予定。県立美術館の開館日(2024年3月30日)の直前の3月28日(金)から4月6日(日)まで開かれます。
また今回は鳥取、米子の百花堂委員会も趣旨に賛同。推薦、公募など作家選定の方法は異なりますが、鳥取百花堂(同市南隈)は5月9日(金)~15日(木)、米子百花堂(同市両三柳)は6月6日(金)~12日(木)にそれぞれ開かれる予定です。3地区合同での企画展は百花堂では初めて。
倉吉百花堂委員会の井上裕貴代表(㈲鶴乃觜代表取締役)は「鳥取県はブリロの箱で全国的な話題を呼びましたが、今回は県内作家たちが力を合わせて開館の新たな話題を集めたい」と抱負を語っています。