認定NPO法人未来(岸田寛昭理事長)は30日、10月例会として倉吉市出身の第53代横綱・琴櫻(本名・鎌谷紀雄、1940~2007、元佐渡ヶ嶽親方)の少年時代の姿を伝える講談を鑑賞。参加者は、幼いころから「気は優しくて力持ち」、大物力士の片りんを見せていた鎌谷少年の物語に胸躍らせました。

琴櫻の講談を創作、演じたのは、倉吉市西町の豊田家住宅(国登録有形文化財)で講談の会を開いている「倉吉談語の会」代表の脇坂幸司さん(73歳)。倉吉の歴史文化の継承や町の活性化に向けて、これまでも「淀屋清兵衛」「里見八賢士」「大江磐代君(いわしろのぎみ)」など、地元の歴史を発掘して物語を創作、市民や観光客に披露してきました。
冒頭、NPO未来の岸田理事長が「先月末、東京都内で琴櫻の大関昇進パーティーが盛大に開かれ、私や鳥取県桜友会(佐渡ヶ嶽部屋の後援会)のメンバーも出席し、会場では桜友会が贈った新しい化粧まわしが披露されました。来月から九州場所(11月10日初日)、講談を聴きながら、ぜひ孫の大関琴櫻の応援を」と挨拶しました。

講談「琴櫻物語」では、警察官のお父さんが留守の間に、気丈なお母さんが一人で出産したエピソードを紹介。早産で2600グラムの小さな赤ちゃんだった鎌谷少年が、成徳小(現在は打吹小に改称)、倉吉東中に進む頃には見る見る大きく、たくましく育ち、「父親の柔道の特訓もあって、校内の相撲大会では先生を打ち負かすほど。一方、捨て犬を拾って育てたり、下級生いじめの柔道部の先輩たちを投げ飛ばすなど、この鎌谷少年、優しく正義感にあふれた若者に育ったのでございます」と張り扇をたたきながら名調子で語りました。

最後に脇坂さんは「今日はここまで。これから角界入りする倉吉農高時代、佐渡ヶ嶽部屋への入門など、物語はいよいよ佳境に入ります。講談の続きを聴かれたい方はぜひ豊田家住宅へ」とPRしていました。



このあと参加者らは、初代・琴櫻と同じ成徳小出身の〝令和の怪物〟伯桜鵬関(本名・落合哲也、伊勢ヶ浜部屋、九州場所の新番付は西十両2枚目)が子供時代から通っていた扇雀食堂(同市大正町)に移動して懇親会。相撲談議に話が弾みました。