挑戦者(ツワモノ)たちが韓国から、北海道から、九州から…健脚競う「第11回SUN-IN未来100㌔ウオーク」

  県内外の挑戦者(ツワモノ)ウオーカーが参加する「第11回SUN-IN未来100㌔ウオーク」(認定NPO法人未来主催)は、鳥取県中部を舞台に11月9日正午から10日正午まで制限時間24時間で開かれ、遠く北海道や東京や愛知、福岡など県内外の個人82人、団体6チーム、合わせて121人の〝脚自慢〟らが参加。2日間とも秋の晴天に恵まれ、夜間は冷え込んだものの、長距離ウオーキングには絶好のコンディション。参加者らはノルディック・ポールを握ったり思い思いの装備で100㌔の長丁場に挑戦し、夜半1時過ぎから朝にかけて次々にゴール。ツワモノたちの健脚ぶりを強烈に見せつけました。

大会コース図

 スタートとゴールは東伯郡湯梨浜町引地の「中国庭園 燕趙園」。9日正午にスタートし、湯梨浜町の東郷池を一周した後、波関峠を越えて三朝温泉街へ。倉吉市街地、琴浦町の「鳴り石の浜」や「道の駅 北条公園」など県中部5市町すべてを巡り、10日正午までに戻る国内有数の長距離ウオーキングイベント(上記コース図)です。また100㌔ウオークは大韓ウオーキング連盟でも開催されている「日韓交流ウオーキング大会」で、今年は同連盟のイ・ガン・オク会長をはじめ6人の韓国チームが来日(うち5人が大会エントリー)、友好交流の足跡を残しました。

秋晴れの下 燕趙園をスタート

秋晴れの天気に恵まれ。燕趙園前で開かれた開会式。挨拶するNPO未来の岸田理事長

 「中国庭園 燕趙園」前での出発式では、認定NPO法人未来の岸田寛昭理事長と地元の宮脇正道湯梨浜町長が「気持ちの良い天気、安全に歩いて楽しい思い出を」「風光明媚な湯梨浜町や中部の各市町を満喫して下さい」と歓迎の挨拶。大韓ウオーキング連盟のイ会長が「日韓交流の輪を広げましょう」と祝辞を述べ、中国式に銅鑼(ドラ)の音を合図に、参加者は東伯耆路に向けて一斉にスタートしました。

地元4市町を代表して歓迎の挨拶を述べる湯梨浜町の宮脇町長
祝辞を述べる大韓ウオーキング連盟のイ会長=右=
幸運を呼ぶといわれる銅鑼の音を合図に一斉にスタート
燕趙園前を一斉にスタートする参加者ら
美しい東郷池畔を歩く参加者ら
抜けるような青空の下、このころはまだ余裕の笑顔
東郷池を一周し「さあ、峠越えに向かうぞ」。励まし合って気合を入れます(湯梨浜町龍島)

過酷な峠越え 三朝温泉へ

 湯梨浜町から三朝町に抜ける波関峠(なんぜきとおげ)は前半の難所。登りが延々と続き、ようやくピークに到達すると、そこが町の境界線。ここから三朝温泉を眼下に眺めながら下っていきます。三朝温泉ふるさと健康むらが最初のチェック・ポイント。「しんどかった」「いや、、まだまだ平気」「思ったより好ペース」。いろんな声がチェックをする担当者との間で交わされます。ここは21・9㌔地点、まだほんの「序の口」…。

波関峠。延々と続く登り坂にぐったりの参加者ら。もうすぐ峠のピークです
三朝温泉の旅館街をバックに軽快に歩く参加者
第1チェック・ポイント、「あれ、思ったより好ペースじゃないの」。スタッフとの話も弾みます
「まだ先は長いので頑張って下さい」 スタッフからのねぎらいの言葉に元気百倍
「ファイティン!」 韓国からの女性参加者から笑顔がこぼれます

倉吉の市街地へ 夕暮れ迫る

  いよいよ倉吉の市街地に入ってきました。日が傾くと途端に体感温度が下がります。車の交通量も増え、歩道をひたすら歩く参加者。途中、来年オープンの鳥取県立美術館や鳥取未来中心、円形劇場とっとりフィギュアミュージアムの建物も見えてきましたが、ゆっくり眺める余裕はありません。車のヘッドライトが灯り、すっかり夜の帳(とばり)が参加者の姿を包み込みました。

鳥取未来中心の前を歩く参加者。いよいよ市の中心部です
フィギュアの殿堂「円形劇場」、オープニングには石破総理も駆け付けました
市街地中心部では周囲は真っ暗になり、LEDライトを頼りに歩みを進める

夜半にゴール トップ争い

 日付が変わり、真夜中の午前1時台。100㌔ウオークのもう一つの見どころは、し烈なトップ争い。昨年トップでゴールした宮地明弘さん(56歳)=岡山県=と、リベンジに燃える一昨年トップの田中康太さん(39歳)=福岡県北九州市=。今年もスタートから2人が抜け出し、ハイレベルな争いを見せましたが、午前1時38分、暗闇の中、ゴールに姿を見せたのは田中さん。

ゴールで喜びを爆発させる田中さん

 田中さんは「途中までは調子よく歩けたが、最後は足が上がらなくなり、気力だけで歩きました。(昨年トップの)宮地明弘さんと途中まではデッドヒート。後半勝負になると考え、いつ上がってくるか後ろばかり気にしながら歩いていましたが、宮地さんがリタイアしていたと聞いて驚き、残念でした」と100㌔の戦いを振り返りました。タイム13時間38分は「毎時8㌔ペース」、脅威的なスピードと耐久力ですね。

念願の1位でゴールインした田中さんをNPO未来の岸田理事長が祝福

夜中の本部 スタッフ徹夜の陣

 参加者も夜を徹して歩いていますが、スタッフもこの日は「徹夜の陣」。「もう足が動きません」「リタイヤします」。携帯にかかってくる参加者からの〝SOS〟の電話に、すぐ現場に救護車を手配します。参加者を拾って本部に戻ったと思ったら、また電話。この活動が夜通し延々続きます。

徹夜で参加者からの電話に対応、救護車を手配する本部スタッフ
リタイヤ者の待つ現場に急行する救護車スタッフ

空が白み始め、感動のゴール

  朝6時、ようやく空が白み始めた燕趙園で、笑顔のフィニッシュが続きます。「人生の記憶に残る日」「妻や子への約束が果たせた」。みんな目標をやり遂げた達成感や充実感にあふれ、笑顔が満面に弾けます。

ようやく明るくなった空をバックに、笑顔いっぱいでゴールに向かう参加者
完歩の喜びを仲間たちと分かち合う

ゴールの笑顔は 人それぞれ

サポートしてくれた奥さんと一緒に、ゴールで「バンザイ!」
疲れが吹き飛ぶ、この会心の笑顔
支え合った仲間同士で「ヤッタネ」。笑顔でフィニッシュ

最年少18歳 西山君の挑戦

 今大会には大会前々日、8日に18歳の誕生日を迎えたばかり、大会史上最年少の西山颯(そう)くん=米子高専3年、北栄町=がチャレンジ。長距離を歩くのが好きで、これまで家から鳥取市、さらに岡山県津山市まで徒歩で足を延ばした経験があるが、お母さんから「100㌔のすごいウオーキング大会があるよ」と教えてもらって参加。

 結果は22時間51分でゴール。 「さすがに100㌔は未知の領域で、途中だめかなと思ったこともありましたが、辛抱して歩くうちに完歩。忍耐強くやればできるんだ、という自信がつかめました」と会心の笑顔。ゴールに駆け付けたお母さんと喜びを分かち合っていました。「将来は東海道五十三次を歩いてみたい」。夢はまだまだ広がります。

「100㌔歩いて自信がつかめた」と喜ぶ西山くん

韓国チームも5人全員、完歩

5人全員が見事完歩し、鳥取県で楽しい思い出をつくった韓国チーム

 「第11回SUN-IN未来100㌔ウオーク」は好天に恵まれ、事故もなく121人中69人が完歩し、無事に終了することができました。遠くは韓国から、北は北海道、南は九州まで、多くのウオーカーにチャレンジしていただいたことを喜ぶとともに、大会運営にご協力ご支援いただいた鳥取県や沿道市町、多くのボランティア・スタッフに深く感謝いたします。再び国内外の挑戦者(ツワモノ)たちに会える日を楽しみに、スタッフ一同さらに努力していく決意です。来年の第12回大会、この100㌔のコースでまたお会いしましょう!

NPO法人未来理事長                                   岸田 寛昭 大会スタッフ一同

第11回SUN-IN未来100㌔ウオークの大会スタッフ