認定NPO法人未来(鳥取県倉吉市、岸田寛昭理事長)は12月14日、鳥取短期大学シグナスホール(倉吉市福庭)に鳥取県の協働推進課長や財政課長を歴任し、ことし熊本県知事に初当選した木村敬氏と平井伸治鳥取県知事をゲストに迎え、設立20周年記念フォーラム『震災復興からの未来づくり』を開催。「地域と子どもたちの未来のために今、われわれは何ができるのか」、参加したNPO法人未来の会員や市民、各界代表者ら200人余りを交えて真剣に語り合いました。
木村知事は、鳥取県在任中は未来の会員。フォーラムの冒頭、認定NPO法人未来の岸田理事長は「当初から木村さんを招く予定でしたが、知事に初当選されて、これは昔のワールド・トレイル・カンファレンス(世界大会)の誘致より難しいのでは、とずっと不安でした。こうして平井知事との対談が実現し、感無量」と挨拶しました。
鳥取、熊本両県は2016年に共に地震による震災に遭い、復興を経験しながら現在もまちづくりに取り組んでいます。当時、総務省から派遣され熊本県の総務部長だった木村さんは、県災害対策本部を設置する際、そのレイアウトに、かつていた鳥取県の県西部地震の資料を取り寄せて活用、「情報は共有すべき、マスコミには隠してはいけない」と本部のホワイトボードに全て公表したことで、行政に対する住民の信頼関係が築けた、と語りました。「この(鳥取県の本部の)レイアウトは今や国のモデルになりつつあります」(木村知事)
一方、平井知事は鳥取県中部地震で、小さな県だからこそ、住民同士が助け合う強い絆や連帯感が外部からの援助を調整し、すみやかな復興の取り組みに結びついたことに着目。「県中部は鳥取、米子という東西、さらに岡山との南北の結節点。それを結ぶ道路網の完成も間近だ。中部が元気になることは鳥取県の発展に欠かせない」と強調しました。
この後、鳥取短大、鳥取看護大を運営する学校法人藤田学院の山田修平理事長をコーディネーターに、両知事の「ビッグ対談」が実現。熊本県が世界最大の台湾の半導体メーカー「TSMC」の誘致に成功した背景や、地方で進む人口減少・高齢化について意見交換しましたが、木村知事は「私も平井知事も、実は生粋の東京生まれの東京育ち」と説明し、「その2人がこうして鳥取や熊本で〝脱東京〟を唱えている」今の現実を指摘しました。
平井知事は「確かに有効求人倍率は1を超えたが、はたしてマッチング、満足しているのか。若い人たちのスピンアウト(既存の組織からの独立)などの取り組みも支援したい」と語り、木村知事も「きょう倉吉市内の白壁土蔵群を歩いたが、カフェや店舗はまだ少ないと感じた。若い人のチャレンジを行政が応援することが大切」とアドバイスしていました。
このあと会場からの質問も交えて、両知事の「夫人とのなれそめ」や2人の青春時代について話が飛びましたが、木村知事が「学生時代は本当に好きなことしかやらなかった。子供や孫がくだらないことをやってるなと思っても、どうか許してあげて下さい」と会場の笑いを誘うと、平井知事も「時には学校を休んで、法律の無料相談や障がい者の国際大会の通訳や介助など、ボランティア活動に打ち込んだ。それが今、県の『あいサポート運動』のテキストに役立っている」と若い世代の可能性を示唆。最後に、木村知事は「兄貴分のような平井知事に励まされてきました。これからもずっと私は鳥取県の応援団であり続けたい」とエールを送っていました。
記念祝賀会
続いて会場を倉吉シティホテル(同市山根)に移し、記念祝賀会が盛大に行われました。
会では石破茂内閣総理大臣からの祝電などが披露されたあと、平井、木村両知事、藤井一博参議院議員、地元市町の首長らによる鏡開きが行われ、広田一恭倉吉市長の音頭で会場全員が乾杯しました。
会の合間には、鳥取大学ジャズ&フュージョン研究会のメンバーで、ことし8月に本場「デトロイト・ジャズ・フェスティバル」に出演した『The Bop’s』の3人と〝師匠格〟の日本ジャズ・ピアノ界の大御所、菊池ひみこさんらによるジャズ・カルテットの演奏が行われ、楽しいひとときを過ごしました。