
20年前、市民らの手で映画化運動が起きながらも夢が途絶えた漫画家、谷口ジローさんの「遥かな町へ」の映画化がついに動き始めました。都会の生活に疲れた中年男性が昭和30年代のふるさと鳥取県倉吉市にタイムスリップ、家族のきずな、ふるさとの街の人々との交流をノスタルジックに描いた谷口さんの代表作で、ヨーロッパでは数々の国際漫画賞に輝いています。

映画化は昨年12月下旬、境港観光協会の会長でもあるTVプロデューサーの結城豊弘さん、島根県出身で「RAILWAYS」など地元を描いた数々の傑作で知られる錦織良成監督、それに倉吉を拠点にハンドバックの製造販売で海外戦略に意欲を見せる㈱バルコスの山本敬代表取締役の3人が、飲み会で意気投合、「倉吉ニューシネマプロジェクト」を立ち上げ、取り組むことになりました。

18日、倉吉市役所の第二庁舎で開かれた記者発表会には、この3人と平井伸治鳥取県知事、広田一恭倉吉市長が出席、それぞれ映画にかける夢や抱負を語りました。

平井伸治鳥取県知事「東日本震災などで絶たれた私たちの夢を、錦織監督がいよいよ果たしてくれる時が来ました。地元オーデションもあるので、銀幕デビューも夢ではありません」
広田一恭倉吉市長「映画の話を初めて聞いたのは1月で、そのスピード感に驚いています。『遥かな町へ』に描かれた倉吉の生活感と風情ある町並みの魅力をぜひ映画でも」
錦織良成監督「平井知事からずっと『鳥取を描いた映画も』と言われていました。山陰や鳥取は、人情や自然の豊かさで世界や時代の最先端、一周遅れのトップランナーと思います」

㈱バルコス山本敬代表取締役「なぜ倉吉に本社を?とよく言われますが、私は何より倉吉が好き、ここで生きたい、働きたい。映画を通じて、倉吉から世界にその魅力を発信できれば」
結城豊弘プロデューサー「『遥かな町へ』の映画化は僕の中でずっと温めていた構想。正月にまだ読んでいない錦織監督に本を送ったら『やる』と即答、それほど魅力ある作品です」
映画「遥かな町へ」は今年春にはクランクインし、打吹公園の桜など倉吉市内の実景を撮影。夏~秋に倉吉市内のほか県内で本格撮影が始まり、2026年秋に公開予定。キャスティング(配役)は3~5月に決め、中学生役・子役等を中心に地元を含めてオーディションも開催予定です。