倉吉に「桜ずもうの春」が来た 佐渡ヶ嶽親方が見守る中、豆力士たちが元気よく「ハッケヨイ!」

半世紀近い歴史のある子ども相撲大会

ゴールデンウイークの始まりと共に、〝すもうの町〟鳥取県中部の倉吉市に春を呼ぶ「第47回桜ずもう(桜杯争奪相撲選手権)大会」が27日、倉吉市営相撲広場で開かれ、コロナ以降最多となる小学校30校、中学3校の豆力士たちが参加。家族や市民の声援を受けながら元気よく「ハッケヨイ」と土俵上で熱戦を繰り広げました。

総会・前夜祭:親方「次は横綱で先代の故郷に」

 桜ずもうは、倉吉市出身の第53代横綱・琴櫻(先代佐渡ヶ嶽親方、1940-2007)の顕彰と青少年の健全育成を目的に、桜相撲振興協議会(会長・広田一恭市長)と一般社団法人倉吉青年会議所(宮城幸明理事長)が毎年開催。琴櫻ゆかりのこの大会からは同市出身で「令和の怪物」伯桜鵬関(伊勢ケ浜部屋)も生まれています。

挨拶する県桜友会会長の広田市長(倉吉市山根の倉吉シティホテル)

 大会に先立ち、20日夜は市内のホテルで佐渡ヶ嶽部屋を応援する鳥取県桜友会の総会と前夜祭が行われました。総会では会長の広田一恭市長が「大関・琴櫻にはことしワンステップ上(横綱)を期待したい」と挨拶。これに佐渡ヶ嶽親方は「プレッシャーに負けない、強い横綱に育てたい」と綱取りを約束しました。

「大関から、プレッシャーに勝てる強い横綱に」と決意表明する佐渡ヶ嶽親方

 桜友会の支援者や市民ら約100人が出席した前夜祭では、佐渡ヶ嶽親方が真千子夫人(横綱琴櫻の長女、大関・琴櫻の母)や一門の力士を連れて来倉し、前夜祭に花を添えました。

一門の力士と一緒に入場する佐渡ヶ嶽親方に、会場から大きな拍手

 前夜祭では広田市長が「先代親方の孫・琴ノ若関の大関昇進と琴櫻襲名、桜ずもうから生まれた伯桜鵬関の復活で、倉吉はすっかり〝すもうの町〟」、佐渡ヶ嶽親方が「しばらく思うような相撲が取れませんでしたが、来年の桜ずもうには横綱として先代の故郷に帰らせたい」とそれぞれ挨拶。豪快に鏡割りを行い、翌日の大会の成功を祈りました。

満員となった前夜祭の会場
鏡割りを行う(左から)佐渡ヶ嶽親方、広田市長、副会長の松浦三朝町長と倉吉青年会議所・朝倉理事長
そろいのハッピで決意を述べる倉吉青年会議所のメンバー

 親方は真千子夫人と共に各テーブルを回って出席者にお酒を注いだり、サインや記念写真の求めにも気軽に応じるなど、気さくな人柄が伝わるサービス。会場はなごやかなムードに包まれました。

親方の細やかな気配りや気さくな人柄が伝わる光景が見られた

桜ずもう本番:豆力士たちが真剣勝負

 桜ずもうの本番を迎えた27日、快晴のもと開会式が行われ、まわし姿の小学校生男女や中学生男子のわんぱく力士ら90人余りが土俵を囲みました。式では大会史上初となる女性の松林安美実行委員長が「子どもの頃から選手で出場したかった桜ずもう、こうして土俵に上がれて光栄です。皆さんも力いっぱい戦って、いい思い出を」と選手らを激励しました。

開会式にはまわしを締めたわんぱく力士たちがズラリ
少し緊張気味の挨拶、女性初の松林実行委員長
観客スタンドに詰めかけた選手の保護者や市民ら

式のあとさっそく中学の団体・個人戦が始まり、モンゴルからの留学生をまじえたハイレベルな戦いが繰り広げられました。

しっかり四股を踏んで本番の準備
激しいぶつかり合いの接戦が続いた中学の部

 中学生の熱戦のあとは一転、かわいらしい小学3年の女子児童ら。体操着にまわしを締め、慣れないそんきょや仕切りに戸惑いながらも、土俵いっぱいに元気な取り組みを披露しました。

「なんだか不安」と土俵下で緊張気味の表情
緊張の面持ちで挑む女子選手ら
初夏を感じさせる晴天、土俵を渡るさわやかな風が心地よい

 また土俵の外では、倉吉商工会議所青年部が食育で子供たちと作った自家製味噌を使用した「ちゃんこ鍋」がふるまわれたほか、ことし9月に倉吉市で開かれる「ヤキトリJAPANフェスティバル2025in倉吉」の出店も設けられ、PRに務めていました。

自家製みその「ちゃんこ鍋」をふるまうブースを松林実行委員長(右)が激励
ヤキトリフェスティバルをPRする出店、背後からは焼き鳥を作る美味しい焼き鳥の香り