未来ウオークを前に 倉吉市で「第14回ノルディック・ポール・ウォーク学会」 テーマは「原点回帰 足元からの健康づくり」

「第14回日本ノルディック・ボール・ウォーク学会学術大会」が、SUN—IN未来ウオーク開幕を控えた6日、鳥取県倉吉市駄経寺町のエースパック未来中心小ホールで開かれ、全国から医療・福祉の専門家や研究者、ノルディック・ウォーク連盟の関係者らが出席、ノルディック・ウォークの可能性と未来について語り合いました。

エースパック未来中心小ホールで開かれた学術大会

 ノルディック・ウォークは距離スキーのような「ノルディック・ポール」を両手に握って歩くもので、足の負担が軽減できるほか、上半身を含む体全体を使うことで筋力がアップし、活発な運動量が得られるウオーキングとして近年人気を集めています。鳥取県中部での学術大会の開催は、第1回大会が2012年秋に東伯郡湯梨浜町で開かれて以来、2回目。同町は2013年、東郷池を周遊する12㌔がノルディックウォーク全国公認コースの第1号に選ばれています。

「原点に立ち返って足元からの健康づくりを」と挨拶する松田隆大会長

 はじめに松田隆大会長(まつだ小児科医院理事長、認定NPO法人未来副理事長)が「再び鳥取県中部の倉吉市で開かれる今回は『原点回帰 足元からの健康づくり』がテーマ。今や日本でもポールを使う姿は珍しくなくなったが、われわれは2012年の学会設立の原点に立ち返り、靴教育も含めた足元からの健康づくりにノルディック・ウォークの未来の可能性を見たい」と大会の意義と目的を説明。「ウェル・ビーイング(WHO=身体的、精神的、社会的に良好な状態)を実現する方法として、皆さんの研究成果や実践事例を共有し、一層の普及・啓発に取り組もう」と挨拶しました。

 このあと、鳥取県福祉健康部の荒金美斗健康医療局長が、「ウオーキング立県」を目指している鳥取県の現状と現在取り組んでいる施策について説明しました。

荒金局長は倉吉市の出身で、未来ウオークのコースの魅力も解説

 続いて、冬季五輪ノルディック複合団体2連覇の金メダリスト、荻原健司長野市長と、地元の広田一恭倉吉市長の2人が「レジェンド対談」。鳥取県立美術館の設計者は長野市役所と同じ槙文彦氏であることや、「彫刻のある町」を活かしたウオークイベントなど、両市の意外な共通点に盛り上がりながら、「長野冬季五輪のボブスレー・リュージュ会場を使ったノルディック・ウォークの公認コースがあり、『健幸増進都市』を掲げて市民の体力向上や健康づくりに取り組んでいる」(荻原市長)、「白壁土蔵群などの古い町並み、『日本一美しい廃線跡』と言われる旧国鉄倉吉線跡など、豊富な地域資源を活かし、官民を挙げて未来ウオークを盛り上げている」(広田市長)とそれぞれの取り組みを説明しました。

それぞれの市のウオーキングを通じた健康づくりについて語る、左から広田、荻原市長

 「3デーマーチ」で有名な埼玉県東松山市の吉澤勲教育長も会場席から飛び入り参加。小中学生が多く参加する同マーチの歴史について語りました。

突然の指名で東松山市の吉澤教育長も市長対談に「飛び入り参加」

 このあと平井伸治県知事が忙しい日程の合間を縫って駆け付け、「正岡子規に『名月やすたすたありく芋畑』という名句があります。歩きながら美しい県中部の町並みや自然を楽しんで下さい」と挨拶しました。

平井県知事は正岡子規の俳句から得意の駄じゃれまで披露

 最後に、盧昊成・漢陽大、芸術体育大兼任教授が「韓国ノルディック・ウォークの現状と未来」と題して講演。「1930年代にノルディックスキーのオフシーズンのトレーニングとしてフィンランドで生まれた。2000年代に日本、韓国とも連盟が結成され、普及が始まった。ノルディック・ウォーク人口は、日本はすでに30万人で安定期にあり、韓国は15万人だが、急成長している。共に地方でのコース整備や啓発活動が普及のかぎを握っている」と報告しました。

韓国のノルディック・ウォーク事情と日本との比較について語る盧昊成教授