映画『遥かな町へ』(錦織良成監督)の舞台となった鳥取県倉吉市で7日、映画制作やエキストラで協力した市民や関係者を招いた完成試写会が行われました。鳥取市出身の漫画家、谷口ジローさん(故人)の代表作の映画化。同作品は今秋の劇場公開を前に、5月のカンヌ国際映画祭(フランス)をはじめ国内外の映画祭に出品される予定で、文字通り倉吉、鳥取の魅力を世界に発信します。
「応援団」が次々

会場の同市山根のシネマエポックには、昨年夏の撮影ロケにエキストラで出演した市民や制作支援した市内の企業・団体など「映画の応援団」が次々訪れました。


欧州で人気の原作
漫画『遥かな町へ』は、バブル経済崩壊後の平成10年、都会の生活に疲れた中年男性が、経済成長期の昭和38年のふるさと倉吉市に中学生としてタイムスリップ、家族のきずな、ふるさとの友人や街の人々との交流をノスタルジックに描いた谷口さんの代表作。ヨーロッパでは数々の国際漫画賞を受賞し、2010年には舞台をフランスの田舎町に移して映画化(サム・ガルバルスキ監督)されています。


映画化の夢
倉吉市では20年前、市民の間で映画化運動が起きながらも、資金不足などで夢は途絶えました。

しかし、一昨年の師走、境港観光協会の会長でTVプロデューサーの結城豊弘さん、島根県出身で「RAILWAYS」や「白い船」など山陰を描いた数々の傑作で知られる錦織良成監督、それに倉吉が拠点の大手ハンドバック・メイカー、㈱バルコスの山本敬社長の3人が意気投合、「倉吉ニューシネマプロジェクト」を立ち上げ、映画化がついに実現しました。

「カンヌ」に挑戦

映写前の舞台あいさつでは、山本社長が「カンヌ国際映画祭に出品を申し込んできました。この映画で多くの若者たちがふるさとに誇りとブライドを持ち、倉吉に帰ってきてくれたら」、錦織監督が「人々が家族と共に豊かに生きていた時代。大切なテーマを谷口先生からいただいた。でも、映画としての挑戦は始まったばかりです」とそれぞれ抱負を語りました。

町が「もう一人の主役」
映画は、どこか不可思議な谷口作品のストーリーを忠実にたどりながらも、映像ならではの春から夏への街の風景の移ろい、細やかな感情描写が浮かび上がりました。何よりCGなしで再現された「昭和の倉吉」の美しい赤瓦、「昭和の人々」に扮したエキストラの市民らの演技が印象的で、倉吉の町そのものが映画の「もう一人の主役」と言えるでしょう。

映画を観終わった市民は「鎌倉(小津安二郎)や尾道(大林信彦)が舞台の映画を観てきたが、こうして倉吉が舞台の作品が生まれ、不思議な感覚と同時に誇らしさを覚えた」「あらためて、自分たちの住んでいる町は素晴らしいと感じた」と感動を口にしていました。


















