里見主従しのび、勇壮な甲冑行列や八犬士声優のトークショー「倉吉せきがね里見まつり」

倉吉市内の観光名所・白壁土蔵群を練り歩く時代行列に、観光客も大喜び

 戦国時代から江戸時代初期の大名・里見忠義公の終焉の地・鳥取県倉吉市で3日、「第36回倉吉せきがね里見まつり」が開かれ、八犬士に扮した甲冑行列や「倉吉八犬伝」の声優のトークショー、関金子ども歌舞伎などのステージイベントが行われました。

 安房国館山藩(千葉県館山市)の藩主だった里見公は1622年、流された伯耆国倉吉で29歳の若さで病死、主君の後を追って8人の家臣が殉死したことから、これをモデルに曲亭(滝沢)馬琴が伝奇小説「南総里見八犬伝」を執筆。江戸時代の大ベストセラーとなり、今でも歌舞伎や映画、テレビドラマに取り上げられる高い人気を誇っています。同市では、無念の死を遂げた里見公とその家臣(八賢士)をしのび弔うため、毎年「里見まつり」を開催。今年は倉吉市制70周年記念事業として取り組まれました。

 16回目を数える時代行列は、同市東町にある里見公の菩提寺・大岳院(中村見自住職)に応募で集まった「八犬士」が甲冑姿で集結。その中には米メリーランド州出身でALT(外国語指導助手)として市内で働くダリル・マッキンドさんの姿も。

 広田一恭市長や里見家の末裔の「全国里見一族交流会」代表らが主従の墓に花を供えた後、中村住職が主従の冥福を祈り読経。住職から「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の8つの〝霊玉〟をそれぞれ受け取り、ほら貝を合図に行列が出発しました。

米国出身の八犬士も。ダリルさんは「犬田小文吾悌順」(いぬたこぶんごやすより)の役

中村住職から霊験あらたかな〝霊玉〟を授かる

時代行列の成功を祈って、ほら貝を合図に全員で「エイエイオー!」の雄叫び

 市内の古い町並みや白壁土蔵群を甲冑姿で練り歩く行列に、観光客も盛んにスマホで撮影していました。

 まつりはその後、主従の廟がある関金町のせきがね都市交流センターに会場を移しました。市制70周年記念事業として、若い世代をターゲットに一昨年立ち上げた聖地巡礼型バーチャルオンラインツアー「倉吉八犬伝」で〝犬塚孝弥〟役の演じている人気声優、赤羽根健治さんがトークショー。県外から駆けつけた熱心なファンの視線を浴びていました。

赤羽根健治さん

 ステージでは「打吹童子ばやし」が太鼓を演奏、せきがねリーディングの会が「八犬伝」の一節を朗読し、会場から盛んな拍手を浴びていました。最後に「関金子供歌舞伎」を演じた地元児童と甲冑行列の八犬士らが合流、一緒に記念撮影をして、まつりを締めくくりました。