大相撲初場所(東京・両国国技館)の千秋楽を迎えた28日、琴櫻記念館(倉吉市魚町)で、快進撃で大関昇進に王手をかけた関脇琴ノ若(佐渡ヶ嶽部屋)を応援するPV(パブリックビューイング)が行われました。琴ノ若は横綱照ノ富士と優勝決定戦にもつれ込む大一番を繰り広げながらも、惜しくも敗れて初優勝はならず。しかし13勝2敗の好成績で臨時の理事会が31日に開かれることが決まり、「大関昇進」はほぼ確実視されています。
パブリックビューイングは、琴ノ若の祖父で同市名誉市民の横綱・琴櫻(前佐渡ヶ嶽親方)が率いた佐渡ヶ嶽部屋を応援する「鳥取県桜友会」(会長・広田一恭倉吉市長)と、同会事務局で琴櫻記念館を運営する認定NPO法人未来(岸田寛昭理事長)が企画。会場には桜友会の会員や桜相撲(琴櫻を顕彰した子供相撲大会)を主催する倉吉青年会議所のメンバー・OB、相撲ファンの市民ら30人余りが、テレビ画面に向かって熱い声援を送りました。
琴ノ若は26日の横綱照ノ富士戦で接戦の末に土がついたものの、翌27日は大関霧島を気合いで寄り切り、12勝2敗で照ノ富士と首位に並んで千秋楽へ。
初優勝と大関昇進がかかる最終日、琴ノ若は翔猿に上手投げで快勝したものの、照ノ富士も霧島を寄せ付けず圧勝。13勝2敗同士で優勝決定戦にもつれ込みました。
鳥取城北高出身でけがで序二段まで落ちながら大関、横綱に這い上がった照ノ富士と、横綱琴櫻を祖父に持ち、父の佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)が果たせなかった大関昇進に王手をかける琴ノ若。郷土関連力士同士の頂上決戦とあって、地元の相撲ファンにとってはたまらない大一番。
照ノ富士は若い琴ノ若の力勝負に一時は形勢不利になりながら、持ち味の上体の強さで力強く寄り切り、唯一優勝していない初場所を制して“全6場所制覇”を達成しました。
その瞬間、「琴ノ若」の名を染め抜いたタオルを手に声援を送っていた会場からは、悲鳴と大きなため息が。しかし、すぐに「よくここまで頑張った」「もうすっかり大関の貫禄だ」と惜しみない拍手が贈られました。
「優勝へあと一歩」の結果に、最前列で応援していた広田市長も思わず天を仰ぎましたが、PVの後、「残念ながら初優勝には届かなかったが、みんなの声援は届いたと思う、大関昇進が確実になり、今後いっそう市民を挙げて応援していきたい」と語りました。
琴ノ若は昨年秋場所からには9勝、11勝と充実した相撲で、初場所13勝を挙げて大関昇進の目安となる「直近3場所で33勝」を達成。気になるのは「来年は大関に昇進し、祖父のしこ名でふるさとに錦を飾らせたい」(昨年の桜相撲前夜祭での佐渡ヶ嶽親方の挨拶)という先代・琴櫻の襲名。
ところが、初優勝を惜しくも逃したこともあり、父親の親方も「目標は先代(元琴櫻)と同じ横綱であり、これは通過点」と控えめに初場所を総括。「大関昇進なら襲名」という見方の一方、「襲名は大関として初優勝してから」と自らハードルを一段上げ、琴ノ若のしこ名を継続する、という見方もあり、襲名をめぐってはしばらくやきもきしそうな状況です。
一方、倉吉市出身で左肩負傷による手術で2場所連続休場、幕下となった伯桜鵬(宮城野部屋)は6勝1敗で、来場所の関取復帰へ前進。両力士の活躍で「相撲の町くらよし」はますますヒートアップしそうな勢いです。