倉吉市内に墓や廟が残る元安房館山藩主、里見忠義公主従をしのぶ「倉吉せきがね里見まつり」が3年ぶりに復活、主従の墓がある大岳院(倉吉市東町)やゆかりのある関金町内で時代行列やステージイベントなどが行われました。
時代行列は大岳院を出発し、国の重要伝統的建造物群である赤瓦・白壁土蔵群を練り歩き、里見まつりの会場である関金都市交流センターを目指しました。
里見安房守忠義公は、安房国(現在の千葉県南部)から伯耆国倉吉への国替えを命ぜられ、里見家再興を願いながら元和8(1622)年、堀村(現在の倉吉市関金町堀)で29歳の若さで亡くなった悲運の大名。3カ月後には側近8人が主人の後を追って殉死、忠義とともに大岳院に葬られ「八賢士」と讃えられました。
道中、時代行列一行は忠義公が再建した北野神社へ立ち寄り。
北野神社では、打吹童子ばやしによる奉納演奏が行われ、深閑とした境内に太鼓の音が響き渡りました。
この主従をモデルに滝沢馬琴が書いたのが「南総里見八犬伝」。江戸時代最大のベストセラーになり、今でも歌舞伎や映画、人形劇などで繰り返し上演されています。昨年末からは「八犬伝」が現代の倉吉によみがえるオリジナルストーリー「倉吉八犬伝~時代を超えてお仕えします~」が作られ、ネットで配信。倉吉の観光名所を舞台に観光庁認定の「聖地巡礼型プロジェクト」として、若い世代に新たなファンを増やしています。
里見公主従が亡くなって今年でちょうど400年。一昨年、昨年とコロナ禍で中止となっただけに、まつり関係者の意気込みもひとしおです。公共温泉施設「湯命館」に隣接した「せきがね交流センター」のステージでは、「倉吉八犬伝」の人気キャラクター・犬坂乙智(いぬさかきさ)を演じている人気声優・榊原優希さんによる記念トークショーが開かれました。
特産の「倉吉絣」の着物を着て登場した榊原さんは、倉吉について「緑を残しながら整備された美しいレトロ感のある町。東京とは空の見え方が違う」と街並みをすっかり気に入った様子。榊原さんも犬坂乙智と同じ「酒豪」で、昨夜は倉吉ビールの「酒粕ブリュー」や元帥酒造の「大吟醸八賢士」を堪能したとか。地元の観光名所や美味しい食べ物に関するクイズやオリジナルの朗読劇などで、会場のファンたちと楽しい交流のひとときを過ごしました。
この後、ステージでは「関金子供歌舞伎保存会」による八犬伝の子供歌舞伎や、「せきがねリーディングの会」による朗読劇などが次々演じられ、不遇のうちに山陰の地で亡くなった里見公主従をしのびました。