新人県議2人が決意、NPO法人未来がオープン例会

 NPO法人未来(岸田寛昭理事長)のオープン例会が8月30日に開かれました。ことし4月に行われた鳥取県議会議員選挙で県中部から初当選した2人の県議が「鳥取中部の未来づくり」のテーマの下、人口減社会への対応や教育問題などについて思いを語り、さまざまな問題について中部1市4町が連携して取り組むことの大切さを共に訴えました。

挨拶する岸田理事長

司会の岡崎坦顧問


 登壇したのは鳥羽喜一さん(32)=倉吉市選挙区=、入江誠さん(62)=東伯郡選挙区=の新人県議2人。同NPO顧問の岡崎坦さんの司会で議論を進めました。
 入江さんは湯梨浜町議、鳥羽さんは倉吉市議を共に任期途中で辞職して県議を目指し、当選しました。入江さんは県議選に出馬した理由を「もっと広いところで活躍しないといけないと感じた」とし、鳥羽さんは「倉吉のことを倉吉市だけで良くすることは難しい。中部は一つの生活圏であり、中部として取り組めば倉吉市のこともできるのではと思った」としました。

入江誠県議

鳥羽喜一県議


 県議になっての取り組みとして、鳥羽さんは県中部の高校が定員割れする一方、東西部の高校に毎年多くの生徒が流出している問題を取り上げ、「体制を整えていたら中部の高校の定数を削減する必要もなかったのではないか」としました。
 入江さんは病児保育の拡充などの「生み育てる環境の整備」の充実を提起。中山間地で空き家が増え続けることにも触れ、空き家対策や共助交通の整備、買い物対策などの地域を守る政策の大切さを強調しました。
 県中部にとっても最大の課題である人口減について入江さんはいわゆる「2040年問題」を取り上げ、上下水道設備の更新などが難しくなり、利用料が住民に重くのしかかるようになる可能性を指摘。市町を超えた横断によって課題解決に導くことを提案しました。


 一方で鳥羽さんは移住や出生を増やす政策に限界があるとし、「人口が減っても対応できるまちづくり」を進めることを提案。上下水道の問題や小児科病院が偏在していることを挙げて「中部全体で考え、それぞれで役割を分担していくことが大切ではないか」と指摘するなど、2人とも中部全体での連携の必要性を挙げていました。


 また、2025年に倉吉市に開館する県立美術館については入江さんが「子供たちが美術に親しむ環境を作り、持続可能な美術館にすることが大切」とし、鳥羽さんは「東西部から見ると県中部は明るい話題が多く、『中部は元気だね』と言われる。明るくとらえることが必要ではないか」と述べました。


 会場にはNPO法人未来の会員以外にも多くの人が集まり、参加者は50人を超えました。会場の参加者からは定数減などもささやかれる高校教育の現状を憂える意見も出されました。入江さんは岩美高校の例を挙げて「学校それぞれの魅力づくりや地域全体での取り組みが重要」と指摘。鳥羽さんは学校が無くなれば地域への負の影響が大きいとし、「地元の高校に通うことで地域への思いも違ってくる」と高校を無くすことに反対する姿勢を示しました。

2人の新人県議の話に耳を傾ける参加者


 鳥取県議会の9月定例会は9月19日から10月13日の日程で開かれ、入江、鳥羽両議員の活動が注目されます。