「未来のあゆみ」~認定NPO法人化を記念して 上編

 NPO法人未来(岸田寛昭理事長)はこのほど「認定NPO法人」として承認されることが決まりました。同認定は、地元自治体から事業活動が高い公益性を持っていると認められたNPOが、活動をより幅広く、また市民や企業の寄付による事業支援が受けやすくなるよう税制上の措置が施されるもの。今回の承認を記念して20余年にわたるNPO法人未来の「あゆみ」をまとめてみました。

PTAからNPOへ ~伊能ウオークとの出会い

 NPO法人未来の創設時からの基本理念は「地域と子どもの未来を創造(つくる)」。NPOの名前の由来にもなりました。

きっかけは、倉吉市内の小学校のPTA会長仲間だった父親たちのふとした会話から。当時「父親もPTA参加を」という声で、各地に「オヤジの会」が生まれていました。「子どもたちは県外に進学・就職してしまう」「倉吉は何もない、なんて言われたくない」「じゃあ、自分たちで何か自慢できるものを創れないか」。世紀をまたぐ直前の2000年でした。

ちょうどその年、伊能忠敬の足跡をたどる「伊能ウオーク」が倉吉で開催されることに。「オヤジ」たちは、子どもたちがボランティアとして運営に参加し、地元の姿や歴史を知り、人々とふれあうことで、地域への誇りや絆が生まれないだろうか、と考え、校区の垣根を越えて活動を始めました。これがNPO法人未来の出発点です。

『私の伊能ウオーク574日―ニッポン再発見の旅』著:畑中 一一
全国で行われた伊能ウオーク 倉吉大会では実行委員長を当時の岸田寛昭理事長が務めた

伊能ウオークが成功のうちに終わり、ウオーキングという健康づくりの原点の魅力、さらにもっと広い視点である「まちづくり」の大切さに気付いたメンバーたちは、やがて文化やスポーツ、観光、医療福祉、子どもの健全育成から若者の雇用創出まで、地域の活性化に取り組める特定非営利活動法人=NPOの設立を思い立ちます。

こうして河北小学校のPTA会長だった岸田寛昭を理事長に2004年1月、NPO法人未来はスタートしました。活動の柱に「Think Globally Act Locally=地球規模で考え、足元(地方)から行動しよう」というグローカルの精神を据えました。これは後に倉吉から全国、さらに韓国・台湾など、地域や国を越えた交流へとつながっていきます。