歴史ある窯元には、新しい風がある―倉吉市・上神焼

 今日は秋晴れの中、倉吉市にある窯元にうかがいました。ちょっと緊張。

 なぜなら、いままでは食に関する取材ばかりでしたので、「ものつくり」の方ってどうだろうか。なんか堅い感じのイメージがあり、少し構えてうかがいました。

古民家風の建物です

 上神焼(かずわやき)は倉吉の郊外の住宅地、でもちょっと横には田園が広がる場所にありました。建物は通りから入ったところにあり、しっとりとした佇まいでした。うん。窯元って感じ。

信楽焼の狸さんがお出迎えしてくれます

 さて、初めてお会いする窯元の主(あるじ)は、職人さんイメージ通りの感じでしたが、話してみると私よりとても若い感覚が! 少しほっとしたような、また期待ワクワクでお話を聞くことができました。

穏やかだけどしっかりとした陶芸への想いが感じられる中森氏。

 本日お話しさせていただいたのは3代目の中森伯雅氏。初代は信楽焼をされており、京都の方から「倉吉で焼き物をしないか」という話があって、昭和16年、倉吉の地で構えることになったのが上神焼誕生のきっかけだそうです。

 20歳でこの道に入られて48年という大ベテラン。ベテランというのは失礼かもしれませんが、48年一貫して職人として活躍されていることは目を見張るものがあります。

 さぞ、えらい方なのだろうと思いきや、とっても柔軟な考えの方でした。その魅力は陶器に表れているようで、重厚で日本の伝統を引き継いでいらっしゃるようにも見えるけど、今どきの風も感じられるような器でした。

 その器へのこだわりを聞いてみると、それは「赤」、赤の色にこだわっている、とおっしゃいました。この赤の色をどう出すかということが自分の作品のこだわりだ、と。

 ですが、購入していただいた方には「どんどんと使っていただきたい。丁寧に扱うと、どんな器も壊れることなく長く使えることができる。そして、この上神焼きは使っていくと、中に入っている鉄分などに反応して色合いが変わってくるので、それを楽しんでいただきたい」とおっしゃっていました。

大切にされている「赤」の壺。左は布目柄。梨の灰の釉薬を使った独特の色相です。

そうなんだ。

 全く知らないことばかりでした。そして、その器を「ほんのひと手間かけて生活のエッセンスに使って欲しい」とおっしゃっていました。高価な器をただ持っているだけ、見ているだけではなく、「なんでもいい、(買ってきた惣菜でも)ちょっと器に移すことにより、より食べ物を美味しく見せてくれ、(生活を)おしゃれで少しでも豊かな、ゆとりあるものにしてくれるのがこの器たちだ」と。

 そうですよね。ちょっとこのお皿を使うだけで気分が良くなりますよね。

 これは私の勝手な考えですが、器のお写真を撮っているととっても楽しくなったんです。一つひとつ模様も違う、世界でたったひとつの器。同じものは2つとない。そして、自然光の中で様々な様子を見せてくれる。写真を撮っていてこんなに魅力がある被写体は久々、いや初めてかもしれません。きっと手にもって眺めてもいろんな表情があるのだろうなと思ってしまいました。

 素敵な器です。ぜひ工房に足を運んでみてください。倉吉観光、また日頃のリフレッシュとして体験工房もあるので、時間が許す限り、この空間を味わっていただきたいな。そして一番は窯元の中森さんのお人柄からくるものかと。きっと。

 また、鳥取県の特産品通販サイト「鳥取みらいマルシェ」でのご購入や、ふるさと納税での地元「元帥酒造」のお酒とのコラボセットはこれからの季節、お歳暮やお年賀にピッタリかと。

中央の器がふるさと納税でセットされているものになります。

「鳥取みらいマルシェ」のサイト:https://mirai-marche.com/

追加情報

令和5年11月17日から11月23日の間、鳥取市富安2丁目の日本海新聞5階ホールで「第15回とっとり陶窯展」が開催されます。

鳥取県内の16の窯元が集結。ぜひ足を運んでみてください。見るだけでも価値あり。