かつて地元の産業や人々の生活を支えたSLが見事に復活。鳥取県倉吉市の倉吉鉄道記念館のそばに展示されているC11蒸気機関車の修復完成式が23日、現地で地元や鉄道の関係者らが出席して行われました。
同機関車は昭和10(1935)年製で、かつて福知山線や境線で活躍。昭和60(1985)年に廃線となった旧国鉄倉吉線でも走っていたことから、旧国鉄(現JR西日本)から借り受けて旧打吹駅の跡地に展示、市民や鉄道愛好者に長年愛されてきました。
しかし塗装のはがれや傷みがひどくなってきたため、倉吉市では昨年、ふるさと納税のクラウドファンディングで修復費用を募集。全国からのべ351人、目標の800万円を超える950万円が集まり、鉄道車両の点検・修理などを行っている後藤工業(米子市)の手で見事に生まれ変わりました。
完成式では同市の広田一恭市長が「多くの皆さんの支援に感謝します。旧倉吉線は今も廃線ツアーなどで人気を集めており、このC11とともに観光の人気スポットになることを期待します」と挨拶。招かれた近くの倉吉愛児園の園児らはさっそく運転席に乗り込み、巨大な蒸気機関車の迫力に歓声をあげていました。
国鉄C11形機関車は、デコイチ(D51)や新幹線の生みの親として知られる島秀雄氏が主務設計者となって開発されました。「コンパクトで働き者の機関車」として主に地方の支線区で活躍。バックで運転しやすいのも特長で、倉吉線(倉吉~関金・山守間)では終着駅に転車台がないため、復路は後ろ向きで客車を引く姿が倉吉の風物詩となっていました。