珈琲の香りの中で…がんと向き合い、共に語り合う「がんカフェ」が中部地区でもオープン Café ippo(湯梨浜町)で月2回

「ウオーキング・リゾート湯梨浜」の拠点、Café ippo

 がんと向き合う人たち(がん患者本人、家族、友人、医療関係者やサポートメンバー)が、コーヒーやお茶を楽しみながら寄り添い、共に語り合う待望の「がんカフェ」が中部地区にもオープンしました。場所はウオーキングをする人たちにはおなじみの、湯梨浜町南谷にある「Café ippo(カフェ・イッポ)」。これから毎月第2、第4月曜日の2回(13:30~15:30)、カフェ貸し切りで開かれます。がん患者や関係者ら30人が出席して盛会だった22日の発会イベントにおじゃましました。

 美しく広がる東郷池の景色が一望できる同カフェ。はじめに主催者を代表して公益社団法人鳥取県看護協会長の松本美智子さんが「がんと向き合う人たちの交流と癒しの場になる『がんカフェ』は東西部にはあるのに、なぜ中部にはないの?という声に押され、行政の支援や当カフェのご理解もあって、ついに実現しました。すばらしい景色を眺めながら語り合える場になることを期待しています」と挨拶しました。

テラスを背に主催者挨拶する県看護協会の松本会長

 続いて倉吉保健所長の小倉加恵子さんが「がん患者の人たちの大切なキーワードは、①第3の場所(家や職場など日常とは別の、自分が自分らしく居られる場所)②ケア(キュア=医学的治療とは違う精神的・心理的な支えや手助け)③語り(言い尽くせない言葉を語り合うことで共感し合い、心や感情を整理する)の3つ」と指摘しました。

カフェをお世話するスタッフを紹介

 このあと、がん患者としてピアサポート(同じ立場や状況の人による支え合い)の活動に取り組んでいる2人がメッセージ。

 あけぼの鳥取(乳がん患者会)会員の田端久美子さんは「思わぬ乳がんの発見につながったのは、何げない友人の言葉から。周りとのやり取り、情報や交流が手助けになると気づきました。同じ悩みを共有することでちょっと楽になる、そのちょっとの積み重ねが大切」と体験に基づいて語りました。

 また、子育て・働く世代のがん患者と家族のつどい「あさがお」代表の松本みゆきさんは、医療法人に勤務する看護師の立場と、検診で肺腺がんを告知された患者の立場の両方があります。「子供どうしよう? 仕事やお金、どうなるの?と戸惑う中で、互いにつながることで生きる力は得られると『あさがお』を立ち上げました。がんと共に生き、がんになっても暮らしやすい社会を目指しましょう」と呼びかけました。

さっそくコーヒーやお茶を囲んで談笑するカフェの参加者ら(プライバシー保護のため遠景で撮影)

 三朝町から参加した女性(69歳)は「18年前にステージ4でがんを宣告されましたが、きょうを大切に、今を生きるという気持ちでやってきました。同じ思いを分かち合える場が中部にできてとてもうれしい」と笑顔で話していました。

 がんカフェの東部地区は「城下町とっとり交流館高砂屋」(鳥取市元大工町)、西部地区は国際ファミリープラザ館6階、鳥取県看護協会米子事務所で、東西部地区は毎週第1、第3水曜日に開いています。開催時間は3地区とも同じ13:30~15:30。祝日はいずれもお休みです。 がんカフェについてのお問い合わせは、〒680-0901 鳥取市江津318-1、電話0857(29)8100、公益社団法人鳥取県看護協会へ。