2025年春の開館に向け、鳥取県立美術館の建設工事がこのほど始まった。倉吉未来中心(多目的ホール)などがある倉吉パークスクエア(同市駄経寺町)に隣接する市営ラグビー場跡に建設する。「市民の熱意が県立美術館成功のカギ」。そう力説する〝とっとり県美応援団〟の佐伯健二団長=東伯郡琴浦町赤碕=。開館まであと3年、どのような取り組みをしているのか、抱負を聞いた。
―〝応援団〟結成のいきさつは?
佐伯「倉吉市内に県立美術館建設が決まり、2017年、島根県出身の澄川喜一さん(東京藝大元学長、東京スカイツリーのデザインでも知られる彫刻家)を招いた講演会が鳥取短大で開かれましたが、そこで澄川さんが指摘された『地元の熱意や支えがなければ、美術館は成功しない』という訴えに感銘を受けました。
そこで翌2018年、『われわれにも何かできないか』と有志を募り、澄川さんが館長をしている島根県芸術文化センターグラントワ(益田市)へ視察に出かけましたが、そこで運営ボランティアとして生き生きと働く市民の姿に大変刺激を受けました。
その頃、建設地の中部で4市町や経済界、文化団体、住民などの幅広い層が参加した『県立美術館と共に歩む中部地区の集い協議会』が設立され、ちょうど地元新聞社を退職した頃で『県立美術館の応援団の設立を』という声に推されて団長を引き受けたわけです。
正確には協議会の『応援部会』ですが、皆にどんどん参加してもらおうと『とっとり県美応援団』という愛称を付けました」
―どんな活動をされているのでしょう?
佐伯「先進的な兵庫県立美術館を訪問して、県民とつくる県立美術館は何が大切か学んだり、コロナ禍で何度も仕切り直しになっていますが、岡山県倉敷市の大原美術館館長を招いてお話を聴こうと思っています。県内では日南町美術館や『工芸の郷づくり』に取り組む八頭郡河原町西郷地区を訪ねるバス見学会も企画しました。
これらは『パワーアップ研修会』と位置づけ、会員個々人の芸術に対する知識や力量アップとともに、それが市民ボランティアとして県立美術館の運営支援につながるように、と考えています。
開館後は県内の小学生による県立美術館見学が予定されており、子供たちを案内するボランティア養成は必須です」
―取り組む上で気を付けておられる点は?
佐伯「手弁当の活動ですから、基本的には、楽しく、各人のやれることに応じて、ということです。たとえば『私は周辺の草取りを手伝う』というのでもいい。芸術活動に触れ、関わることは義務ではなく本来、楽しいことです。活動の中に楽しさを盛り込み、参加しやすいようにしたいと思います」
―これから何を重点に?
佐伯「中部だけでなく東西部の人たち、東京・大阪など県外在住出身者にも、どんどん応援団に参加してもらいたい。そうでなければ『県立』美術館にならない。楽しく芸術に触れて学びながら、これからの県立美術館を考え、支えていく活動。老若男女、気軽に参加していただけたら、と思います」
「とっとり県美応援団」の入会申し込み、問い合わせは〒689—2501 東伯郡琴浦町赤碕400—6、電話0858—55—0803 メールアドレスはYell2024@mail7.torichu.ne.jp