街はアート一色〝福高の秋〟 倉吉市で「福高祭」と「アートdeウオーク」  ジミー大西さん「美術館できたら、またボクを呼んで!」

 雲一つない秋晴れの好天に恵まれた22日、倉吉市明治町の「打吹回廊」をメーン会場に「福高祭」と「アートdeウオーク」が開かれ、多くの市民でにぎわいました。

屋台が建ち並ぶバス通りの歩行者天国は大にぎわい

 同祭は2016(平成28)年、倉吉市や県中部地域に大きなつめ跡を残した鳥取県中部地震からの復興(福高)を願って毎年10月に開かれています。再来年春には市内に鳥取県立美術館がオープンすることもあり、「美術館を復興と発展の起爆剤に」という期待を込めて、今年の祭りは〝アート一色〟。「異色の芸術家」で知られるジミー大西さんをゲストに迎え、多くのアーチストの参加や作品展示、芸術のワークショップで盛り上がりました。

「福高祭、がんばろう!」開会式で決意表明する実行委員会のメンバーら

 このうち福高祭実行委員会と認定NPO法人未来の共催で行われた「アートdeウオーク」は、緑の彫刻賞をはじめ洋画(前田寛治大賞)日本画(菅楯彦大賞)など35年前からトリエンナーレ美術賞・展の取り組みを続けてきた倉吉市内の彫刻を鑑賞する「芸術志向のウオーキング」。33人が参加し、倉吉博物館の根鈴輝夫館長の解説を聞きながら、旧国鉄倉吉線跡地に彫刻作品が並ぶ「緑の彫刻プロムナード」や建設中の県立美術館などを観て回りました。

「打吹回廊」をスタートする「アートdeウオーク」の参加者ら

淀井敏夫氏「雲と樹、渡り鳥」。「見る角度で鳥が飛んでいるように見えませんか?」

内田晴之氏「異・空間 9…」。「磁石の力で中の構造物が動きますよ」

早川魏一郎氏「だんらん」。「3人の輪の背景に打吹山が浮かび上がります」

コスモスの花が咲き乱れる「緑の彫刻プロムナード」を歩く親子

澄川喜一氏自身が「私の最高傑作」と言う「To The Sky」が秋空にそびえる

外観が次第に見えて来た鳥取県立美術館。期待が膨らむ

「地元出身の湯村光氏のCompositionは巨大なアトリウムの背景に負けてませんね」と根鈴館長

 倉吉市内には、東京スカイツリーを監修した元東京芸大学長の澄川喜一氏の「To The Sky(トゥ・ザ・スカイ)」「こっとい」をはじめ文化勲章受章の淀井敏夫氏の「雲と樹、渡り鳥」など日本を代表する大家の作品、地元出身の長谷川塊記「裸婦」、早川魏一郎氏の「だんらん」「鳩と少女」、湯村光氏の「KURAYOSHI」「地象」「Composition」「発芽」など、40点近い具象・抽象の野外彫刻が設置されており、根鈴館長は「街角で誰でも気軽に触れられる芸術。ウオーキングや散歩がてら鑑賞してほしい」と話していました。

 午後からは〝倉・倉つながり〟で交流のある岡山県の倉敷商店街振興連盟の野嶋雅弘会長と倉吉銀座商店街振興組合の小林健治理事長が壇上でトーク。「倉敷は大原美術館、倉吉は県立美術館、美術館のある町同士、交流を活発化させましょう」とエールを送りました。

「美術館のある町としてさらなる連携を」と倉敷商店街の野嶋会長=左=にエール

 この後、ジミー大西さんが大きな拍手と歓声の中、ステージに登壇。「ボク、自動車免許を取りに合宿したのは鳥取。半年間もかかったけど、町の人たちが温かかった。鳥取県立博物館で展覧会をした時は4万人以上も来てくれました。どうも、ありがとう!」とユーモアを交えて鳥取の思い出を語り、「今の目標は、倉吉にオープンする県立美術館で展覧会をやること。ぜひボクをぜひ呼んで下さい」と宣言し、会場を沸かせていました。

「美術館できたら、ボクをまた呼んでね」とジミー大西さん

 このあと、震災が起きた2時7分ちょうどに全員で空に風船をリリース。中部在住のラテン・ジャズバンドと鳥取市の「鉄筋彫刻アーチスト」、徳持耕一郎さんがコラボしたライブ演奏など、芸術の秋にふさわしいイベントを満喫しました。

やっぱり子供たちに一番人気は今年も「路上落書きアート」でした