今秋に倉吉で日本女性会議、「性別・世代を超えて交流、倉吉の魅力も発信したい 」田中響実行委員長に聞く

今年10月28日(金)から30日(日)までの3日間、倉吉未来中心(倉吉市駄経寺町)を主会場に、コロナ禍になって以降では最大規模となる約2000人参加の「日本女性会議2022in鳥取くらよし」(主催・倉吉市、同実行委員会)が開かれます。大会実行委員長を務めているのが鳥取看護大の田中響教授(看護学部長)。認定NPO法人未来の会員でもあり、8年前に神戸から倉吉の大学に着任後は、学生への看護教育の傍ら、SUN‐IN未来ウオークをはじめ地域の交流やまちづくりの取り組みに積極的に参加されています。田中実行委員長に大会の内容や取り組み状況をうかがいました。

田中響実行委員長

―実行委員長を任されたいきさつは?
 「男女共同参画の取り組みを続けてこられた倉吉の女性たちが以前から誘致に手を挙げ、2度目の挑戦で夢がかないましたが、実は私、そういう会議があることも知らなかったんです。で、『実行委員長を』と依頼された時は『なんで私が』と本当に驚きましたが、基本的に断らない人間なんで(笑)、じゃあ、勉強しながらやっていこう、と」


―日本女性会議はちょっと変わった運営形態ですね
田中「ええ、母体となる全国組織や本部といったものはなく、誘致した地域の自治体や団体が実行委員会をつくり、大会の内容や運営を決めていくという形です。毎年共通しているのは、ジェンダー論に取り組んでおられる社会学者の上野千鶴子さん(東京大名誉教授)の講演や、男女共同参画担当大臣(現在は野田聖子氏)が来られることぐらい」


―新型コロナの感染が拡大し、ずいぶん気をもんだのでは。

田中「2019年(朝霞市)は台風で中止、20年(刈谷市)21年(甲府市)はコロナでオンライン開催と、本大会はご難続き。倉吉もコロナが長引けば来年に延期も検討していましたが、ぎりぎり5月になって今年開催を決断しました。だから、分科会・交流会の企画など『短期決戦』で、これから大忙しです」


―倉吉大会のテーマや内容は?
田中「テーマは『Smile・in・くらよし~笑顔になれる夢ある未来~』。コロナになって、在宅ワークで男性の育児や家事の参加が増えるなどポジティブな面もあるのですが、一方でうちの大学でも家計が苦しくなって学費が払えない学生とか、非正規雇用が多い女性や生活苦のシングルマザーにしわ寄せが及んでいます。
 日本女性会議には毎年、全国で男女共同参画に取り組む多くの女性が集まりますが、倉吉大会ではこうした課題や問題を女性たちで深堀りするだけでなく、男性や幅広い世代の横のつながりを広げ、特に若い世代へつなぐものにしたい、と思っています。
 プレイベントで地元高校生と話す場があったのですが、われわれの時代と違って家庭科の授業を男女とも受け、性別による固定的な役割分担意識などは少しずつ薄らいでいる感じ。長年の取り組みによる前進面ですが、それでも本人も気づかない『刷り込まれた性差』のようなものがまだうかがえます。若い世代も実はいろいろ考え、意見を持っています。実際に対話し交流しなければ互いに気付かないし、取り組み自体、未来につながっていきません」


―大会では「倉吉の魅力発信」も大きな目的とか。
田中「そうです。町歩きや関金ウオークなど地元の人たちとふれあえる場を設け、〝くらしよし倉吉〟の魅力をしっかりPRして参加者に再訪してもらえたら…。コロナ対策も兼ねてですが、懇親会などは市内あちこちに分散して開き、リモートで結ぶことを考えています」


―神戸から単身赴任中の田中さん自身が感じる倉吉の魅力とは?
田中「人の温かさでしょうか。コンパクトな町なので、あちこち声を掛けたらすぐに手伝ってくれ、この件はあの人に…と紹介してくれるので、いろんなことがすぐに実現できます。大会準備の中でも、そう強く感じますね」

【日本女性会議とは】

1975年の「国際婦人年」とそれに続く「国際婦人の10年」を記念して1984年から開催。地域が抱えるさまざまな問題に対し、男女共同参画の視点で解決することを目的とした国内最大の会議。倉吉大会で39回目。
 大会実行委員会では大会成功に向けて協賛金や寄付を募集しています。団体・企業協賛はひと口1万円から、個人の寄付は千円から。
 なお認定NPO法人未来6月例会(29日(水)午後6時半から倉吉シティホテル)の講師は田中さん。大会への協力やボランティア参加を呼び掛ける予定です。

主会場となる倉吉未来中心(倉吉市駄経寺町)